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インプラントとビスホスホネート製剤の関連

現時点では、(2008)BP製剤投与患者におけるインプラントの効果に関するデータは少ない。

インプラント施行前に、患者と危険性、有益性、治療選択肢について話し合うこと。

治療選択肢には、歯周病治療、歯内療法、インプラント以外の補綴治療などあるが、これらに限定されない。

この説明内容を記録し、書面にてインフォームドコンセントを得ることが重要である。

インプラント埋入には骨への侵襲が必要であることから、BP投与患者に対する治療計画を注意深く検討すべき。

広範囲にわたるインプラント治療や骨再生誘導GBRが必要である場合、患者はBRONJの発生リスクが高くなると考えられる。

インプラント治療後は、インプラント周囲炎を予防するため、機械的、薬理学的手法によるメインテナンスを行い、定期的にモニタリングすること。

インプラント周囲炎の患者には、適切な非外科処置と長期にわたる初期治療との組み合わせを検討する必要がある。

インプラント周囲炎が治癒しなければ、周囲の軟組織の外科的修正が適切である可能性があり、

必要に応じて適切な骨形態修正を検討すること。

経口ビスホスホネート製剤投与患者の休薬と対応

BP製剤 経口投与患者の場合

1.患者に確認、説明していただきたいこと

注射用BPと比較して経口BP服用患者においては、抜歯後に関連したBRONJ発生リスクが低い

とされている。

しかし、歯科を受診した場合には経口BP服用について伝えることが必要。

2.BRONJの発生を防ぐ最善の方法は、口腔衛生を良く保つことと定期的な歯科検診などのデンタルケアであるとのコンセンサスがある。

 

2.BP経口投与中に抜歯等の侵襲的歯科処置が必要となった場合のBPの投与

経口BPでの臨床試験に基づいた確固たるエビデンスはありませんが、臨床医の経験に基づき

米国口腔外科学会では以下のように提言されています。

経口BPによるBRONJ発生リスクは非常に低いものの、経口BPによる治療期間が3年を超えると

上昇する。

ただし、コルチコステロイドを長期併用している場合には、経口BPの治療期間が3年未満でもBRONJ発生のリスクは上昇する。

 

1.経口BP投与期間が3年未満でコルチコステロイドを併用している場合、

あるいは、BP投与3年以上の場合

患者の全身状態からBPを投与中止しても差し支えないのであれば、

歯科処置前の少なくとも3か月間(4~6か月)は経口BPの投与を中止、休薬し、処置部位の骨が治癒傾向を認めるまでは

経口BP投与を再開すべきではない。

2.経口BP投与期間が3年未満で、他に危険因子がない場合(糖尿病、コルチコステロイドなど)

予定された侵襲的な歯科処置の延期、中止や経口BP投与中止の必要はない。しかし、できるかぎり慎重に処置すべきである。

 

BP経口投与中にBRONJが発生した場合の対応

BP投与の中止が推奨される

BRONJ患者では、投薬の中止が、症状を改善させる傾向がある。

経口投与を6か月~12か月休薬することにより、腐骨の自然排出またはデブライドメント後の症状改善に寄与するとされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BRONJ  BP薬関連による顎骨壊死

BRONJの診断基準

1.米国口腔外科学会

BP製剤による治療を現在行っているか、過去に行っていた。

露出壊死骨が認められ、8週間以上持続している。

顎骨の放射線療法の既往歴がない。

2.欧州骨粗鬆症WG

下顎、上顎、あるいはこの両者の見られる骨の露出

8週間以上の持続

顎骨への放射線療法の既往や転移がない。

 

現在世界的にBRONJの定義はない。臨床的には下顎および上顎の歯槽骨露出が典型

痛みは伴う、伴わない、 感染症や外傷に起因する場合、しない場合がある。

骨露出部は抜歯後、または口腔粘膜に対する外傷後に発現する頻度が最も高い。

しかし、これらの口腔内に対する誘因がなく発現している症例も報告されている。

感染症との因果関係は明確ではないが、感染に対する外科的歯科処置後に発現する可能性がある。

 

BRONJの診断は臨床所見によりなされている。

重要点は、下顎、上顎、あるいは両者に見られる骨露出で、8週間以上持続し、以前に顎骨への放射線療法歴や、他部位からの悪性腫瘍の転移がないことである。

その他症状 顎骨に粗造な部分がある、顎が重い感じ、鈍痛、顎のしびれ、うずき、歯痛様疼痛、軟組織感染、歯の動揺など。

 

歯、歯周疾患に似た症状があり、標準的な治療ではこれらの症状が回復しない場合BP製剤を投与されていれば、骨露出がみられなくても、BRONJを鑑別診断の一つとして検討すべき。

 

診断の2段階アプローチ

1.BRONJが疑われる臨床像

口腔外科手術後に関連して生じるか、自然発生的に生じ、治癒傾向がみられない顎顔面領域の骨露出を認めた場合BRONJを疑う。

2.BRONJの臨床診断

適切な歯科治療から6週間経過しても治癒傾向がなく、顎骨への転移性疾患あるいは、放射線骨壊死が否定できる場合はBRONJと診断される。

 

2.BRONJの臨床症状、病期分類

①臨床症状

疼痛、軟組織の腫脹、感染、歯の動揺、排膿、骨露出

これらの多くは、抜歯部位で発症していることが多い。

②病期分類

1.潜在リスク患者

BP製剤を服用している患者

2.BRONJ患者

ステージ1 無症状で感染していない、骨露出、骨壊死

ステージ2 感染を伴う骨露出、骨壊死。

       疼痛があり、、排膿がある場合とない場合がある。

ステージ3 疼痛、感染を伴う骨露出、骨壊死。

       そして、病的骨折、外歯ろう、下顎下縁にいたる骨吸収と破壊

 

3.BRONJの発生機序

まだ明らかではないが、以下の説

説1.

骨代謝回転抑制作用

BP薬剤投与により、骨代謝回転が過度に抑制され、顎骨において微小骨折が蓄積し、また血管新生も抑えられて骨細胞の壊死、アポトーシスにいたるという説。

顎骨には咀嚼行為による機械的な負荷が絶えず加わっているため、顎骨はBP薬剤による骨代謝回転抑制の影響(微小骨折の蓄積)をとくに受けやすいとも考えられる。しかし、研究において、BP薬が失活した骨と同程度まで骨の代謝回転を抑制するという報告はない。実際、臨床試験においても

BP投与中に骨折などの刺激に対して回復力を保持していることが示唆されている。このことから、骨代謝回転の抑制が顎骨壊死の主な原因であるとは思われない。

 

説2.血管新生抑制作用

BPの抗血管新生作用が顎骨壊死の病態生理に関与しているという説もある。

癌患者の顎骨壊死と関連性を有する2種類の薬、つまり、正常骨での研究によれば、ゾレドロン酸の投与によってもリモデリングや骨折修復における骨新生といった血管新生に依存する過程が阻害されることはないとされている。創傷治癒不全や骨感染を促進させるがんと関連した病態の何らかの関与が考えられる。

 

4.BRONJの危険因子

コルチコステロイド療法

糖尿病

喫煙

飲酒

口腔衛生の不良

化学療法薬

66歳以上、慢性疾患に対する経口グルココルチコイド使用、歯周炎、BPの長期使用

がん患者

 

5.BRONJと歯科治療

BRONJの危険因子

抜歯

インプラント埋入

根尖外科手術

骨への侵襲を伴う歯周外科

 

これらの処置を注射用BP投与患者に施行した場合のBRONJ発現リスクは7倍

 

オーストラリア調査

BP薬剤投与中患者の抜歯をした場合のBRONJ発現率

骨粗しょう症では、0.09~0.34%

ページェット病では、2.1~13.5%

悪性腫瘍では、6.67~9.1%

3疾患合計 0.37~0.8%

 

6.BRONJの発現頻度

海外報告

注射製剤に関して

1.米国口腔外科学会

累積発現頻度0.8~12%と推定

データは少ない

2.欧州骨粗鬆症WG

報告頻度は、10万人年あたり95件

薬剤を10万人が1年間服用した場合、そのうち95件の発現という意味

 

経口製剤に関して

1.米国口腔外科学会

10万人年あたり0.7件とかなり低い頻度。

2.欧州骨粗鬆症WG

10万人年あたり1件未満

 

つまり、10万人に1年投与して、0.7~1件BRONJの発現という低頻度である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BP、BRONJ

BP:bisphosphonate

BRONJ:bisphosphonate related osteonecrosis of the jaw

BP系製剤 関連 顎骨壊死

国内販売されているビスホスホネート系薬剤

経口製剤

1.ダイドロネル(エチドロン酸二ナトリウム) Didronel,(Etidronate)

骨粗鬆症、

脊髄損傷後、股間接形成術後における初期、進行期の異所性骨化の抑制、

骨ページェット病

2.フォサマック、ボナロン(アレンドロン酸ナトリウム水和物)Fosamax(Alendronate)1w 70mg

骨粗しょう症

3.アクトネル、ベネット(リセンドロン酸ナトリウム水和物)Actonel(Risedronate)

骨粗しょう症

 

注射用製剤

1.アレディア(パミドロン酸ナトリウム)Aredia(Pamidronate)

悪性腫瘍による高カルシウム血症、

乳がんの溶骨性骨転移

2.ゾメタ(ゾレドロン酸水和物)Zometa(Zoledronate)

悪性腫瘍による高カルシウム血症

多発性骨髄腫による骨病変、固形がん骨転移による骨病変

3.オンクラスト、テイロック(アレンドロン酸ナトリウム水和物)

悪性腫瘍による高カルシウム血症

4.ビスフォナール(インカドロン酸二ナトリウム)

悪性腫瘍による高カルシウム血症

ビスホスホネート系薬剤 1

ビスホスホネートは、石灰化抑制作用を有する生体内物質であるピロリン酸のPOP構造を安定なPCP構造に変えたものの総称。

この構造により、ビスホスホネートは骨のハイドロキシアパタイトに親和性を示し、血中に移行した

ビスホスホネートのほとんどは骨に移行する。

ビスホスホネートは、骨吸収抑制作用がある。

骨粗鬆症領域において、ビスホスホネート製剤は長期の試験により有用性が検証され、国内外のガイドラインにて骨粗しょう症の第一選択薬となっている。

骨粗しょう症におけるビスホスホネートの利点は、骨量増加による骨折の確率の低下である。

がん領域では、悪性腫瘍による高カルシウム血症での検討に引き続き、固形がんの骨転移や多発性骨髄腫における有用性が検証され、こちらも国内外のガイドラインで推奨されるがんの支持療法となっている。骨転移治療薬としてのビスホスホネートの利点は、骨痛の抑制と骨折などのがんの骨転移に伴う骨合併症の抑制です。

 上記2つの領域のほか、骨PAGET病、小児骨形成不全といった疾患においてもその有用性が報告されており、ビスホスホネート製剤は骨代謝異常疾患の治療には不可欠なものとなっています。

国内においては、主に経口製剤が骨粗鬆症に、注射用製剤が癌の骨転移に使用されている。

これまで、ビスホスホネート製剤は傾向製剤の消化器症状、注射用製剤の発熱が主な副作用とされてきましたが、近年、ビスホスホネート製剤と顎骨壊死との関連が示唆されています。

顎骨壊死は、古くは19世紀半ばから20世紀初頭にかけての黄リンマッチの製造が盛んであった時期にマッチ製造業者でPHOSSY JAW として報告されていました。

その後も、重金属、りん、放射線への曝露、凝血障害や循環器障害、慢性的な免疫抑制状態の患者で報告があり、近年では放射線骨壊死として報告されていましたが、2003年に公表された文献報告以降、ビスホスホネート系薬剤との関連が報告されています。

いまのところ、ビスホスホネート系薬剤による顎骨壊死については、発生機序、予防法、対処法と未だに明確なものがありません。

 

 

下歯槽神経

inferior alveolar nerve

下歯槽管=inferior alveolar canal=mandibular canal

下歯槽神経、下歯槽管の手前の骨は硬いとは限らないので注意。

下歯槽神経手前の骨は硬いということは信じてはならない。

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