BRONJの診断基準
1.米国口腔外科学会
BP製剤による治療を現在行っているか、過去に行っていた。
露出壊死骨が認められ、8週間以上持続している。
顎骨の放射線療法の既往歴がない。
2.欧州骨粗鬆症WG
下顎、上顎、あるいはこの両者の見られる骨の露出
8週間以上の持続
顎骨への放射線療法の既往や転移がない。
現在世界的にBRONJの定義はない。臨床的には下顎および上顎の歯槽骨露出が典型
痛みは伴う、伴わない、 感染症や外傷に起因する場合、しない場合がある。
骨露出部は抜歯後、または口腔粘膜に対する外傷後に発現する頻度が最も高い。
しかし、これらの口腔内に対する誘因がなく発現している症例も報告されている。
感染症との因果関係は明確ではないが、感染に対する外科的歯科処置後に発現する可能性がある。
BRONJの診断は臨床所見によりなされている。
重要点は、下顎、上顎、あるいは両者に見られる骨露出で、8週間以上持続し、以前に顎骨への放射線療法歴や、他部位からの悪性腫瘍の転移がないことである。
その他症状 顎骨に粗造な部分がある、顎が重い感じ、鈍痛、顎のしびれ、うずき、歯痛様疼痛、軟組織感染、歯の動揺など。
歯、歯周疾患に似た症状があり、標準的な治療ではこれらの症状が回復しない場合BP製剤を投与されていれば、骨露出がみられなくても、BRONJを鑑別診断の一つとして検討すべき。
診断の2段階アプローチ
1.BRONJが疑われる臨床像
口腔外科手術後に関連して生じるか、自然発生的に生じ、治癒傾向がみられない顎顔面領域の骨露出を認めた場合BRONJを疑う。
2.BRONJの臨床診断
適切な歯科治療から6週間経過しても治癒傾向がなく、顎骨への転移性疾患あるいは、放射線骨壊死が否定できる場合はBRONJと診断される。
2.BRONJの臨床症状、病期分類
①臨床症状
疼痛、軟組織の腫脹、感染、歯の動揺、排膿、骨露出
これらの多くは、抜歯部位で発症していることが多い。
②病期分類
1.潜在リスク患者
BP製剤を服用している患者
2.BRONJ患者
ステージ1 無症状で感染していない、骨露出、骨壊死
ステージ2 感染を伴う骨露出、骨壊死。
疼痛があり、、排膿がある場合とない場合がある。
ステージ3 疼痛、感染を伴う骨露出、骨壊死。
そして、病的骨折、外歯ろう、下顎下縁にいたる骨吸収と破壊
3.BRONJの発生機序
まだ明らかではないが、以下の説
説1.
骨代謝回転抑制作用
BP薬剤投与により、骨代謝回転が過度に抑制され、顎骨において微小骨折が蓄積し、また血管新生も抑えられて骨細胞の壊死、アポトーシスにいたるという説。
顎骨には咀嚼行為による機械的な負荷が絶えず加わっているため、顎骨はBP薬剤による骨代謝回転抑制の影響(微小骨折の蓄積)をとくに受けやすいとも考えられる。しかし、研究において、BP薬が失活した骨と同程度まで骨の代謝回転を抑制するという報告はない。実際、臨床試験においても
BP投与中に骨折などの刺激に対して回復力を保持していることが示唆されている。このことから、骨代謝回転の抑制が顎骨壊死の主な原因であるとは思われない。
説2.血管新生抑制作用
BPの抗血管新生作用が顎骨壊死の病態生理に関与しているという説もある。
癌患者の顎骨壊死と関連性を有する2種類の薬、つまり、正常骨での研究によれば、ゾレドロン酸の投与によってもリモデリングや骨折修復における骨新生といった血管新生に依存する過程が阻害されることはないとされている。創傷治癒不全や骨感染を促進させるがんと関連した病態の何らかの関与が考えられる。
4.BRONJの危険因子
コルチコステロイド療法
糖尿病
喫煙
飲酒
口腔衛生の不良
化学療法薬
66歳以上、慢性疾患に対する経口グルココルチコイド使用、歯周炎、BPの長期使用
がん患者
5.BRONJと歯科治療
BRONJの危険因子
抜歯
インプラント埋入
根尖外科手術
骨への侵襲を伴う歯周外科
これらの処置を注射用BP投与患者に施行した場合のBRONJ発現リスクは7倍
オーストラリア調査
BP薬剤投与中患者の抜歯をした場合のBRONJ発現率
骨粗しょう症では、0.09~0.34%
ページェット病では、2.1~13.5%
悪性腫瘍では、6.67~9.1%
3疾患合計 0.37~0.8%
6.BRONJの発現頻度
海外報告
注射製剤に関して
1.米国口腔外科学会
累積発現頻度0.8~12%と推定
データは少ない
2.欧州骨粗鬆症WG
報告頻度は、10万人年あたり95件
薬剤を10万人が1年間服用した場合、そのうち95件の発現という意味
経口製剤に関して
1.米国口腔外科学会
10万人年あたり0.7件とかなり低い頻度。
2.欧州骨粗鬆症WG
10万人年あたり1件未満
つまり、10万人に1年投与して、0.7~1件BRONJの発現という低頻度である